眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

昨夜に眠れなかった理由 (2)

さて,久々に寝つきが悪かったわたしの行動の何が悪かったのか? ということについて、前回、

1 やや遅い時間に長めに昼寝をしてしまった。
2 寝る直前に運動をした
3 寝る直前にパソコンの画面を見ていた

の3つの原因を可能性として挙げました。そして1番目の昼寝について説明しました。

今日は、「寝る直前の運動は眠りに悪い?」ということについて書いておきます。

結論から言えば、
●もともと不眠症の傾向がある人は、寝る直前には運動をしない方がいいかもしれない。
●でも、ふだんから睡眠に困っていない人は、寝る前の運動に関してそう神経質になる必要はない。
というところです。

これまで、「就寝直前の運動は交感神経(闘争のための神経)を活発化させて寝つきを悪くさせるので避けた方が良い」ということが、睡眠の指導では言われてきました。
しかし、今年出版された、運動と睡眠について扱った総説論文(参考文献は文末に記載)によると、「ふだんよく眠れている人なら、就寝直前に運動したとしてもそれが眠りを妨げることはない」と言う方向にデータが集まっているということらしいのです。

わたしの場合、もともと、寝つきが悪かったり夜中に目が覚めてしまったりすることがときどきあるので、眠る直前の運動は寝つきに悪影響を及ぼす可能性があるわけです。

とは言え、同じ論文で、運動習慣は、眠りの質や寝つきに良い影響があるともまとめられているので、不眠症がある人でも、眠る直前は避けるにしても、運動習慣をつけることがおすすめですよ!

参考文献:
Sleep Med Rev. 2015 Apr;20C:59-72. doi: 10.1016/j.smrv.2014.06.008. Epub 2014 Jun 30.
Sleep and exercise: A reciprocal issue?
Chennaoui M, Arnal PJ, Sauvet F, Léger D.