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眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

ちょっとの睡眠不足でも、続いたら徹夜並みに作業効率が落ちる

先週から、ぼんやり具合がひどいです。スープの皿をひっくり返したり(幸い、中身はすでに冷めていました)、ガラスで出来た鍋の蓋を落として割ってしまったり。昨日なんか、気が付くと、カレーの鍋に火が点けっぱなしで、気が付かずに放置していました(冷汗)。幸い弱火だったし、中身が大量のカレーだったので、ほとんど焦げ付きもせず、ただのよく煮込んだカレーになりましたが……一歩間違えたら火災です、こわいこわい。

実際、頭の中もぼんやりとした感じがします。ふと、この感覚は覚えがあるなー、と気が付きました。そう、二十代の頃に経験した、夜通し一睡もできないで働いたあとの翌日のぼんやり感に似ている……!

実際、「ちょっと寝不足」と思う程度の睡眠不足でも、ずっと続けば、徹夜並みに頭がぼんやりしてくるということが、研究からわかっています。

その研究では、48人の被験者を、4つのグループに分けました。一晩8時間寝る群、6時間寝る群、4時間寝る群、徹夜する群です。徹夜する群は、3日間(88時間)徹夜。その他の群は、割り当てられた長さの睡眠時間で、14日間、実験室で過ごしました。

そして全員、起きている間は、2時間起きに、数々の検査を受けたんですね。数字がスクリーンに現れたらすぐにボタンを押して反応時間を測定する検査とか、数字を見たら対応する記号を入力する検査とか、足し算引き算を延々と行う検査とか。そういう検査で、注意力がどのくらいまともなのか、チェックしたわけです。
あとは、「いまどのくらい眠いですか?」という本人の自覚も、その都度尋ねていました。

その結果、徹夜グループの人たちの注意力テストの成績が、まず激しく低下していきました。これはまったく意外ではないですね。
徹夜グループは3日で実験終了。その後も、4時間睡眠、6時間睡眠、8時間睡眠群の実験は続いていきます。
日を追うにつれ…8時間睡眠群のテスト成績は、ほとんど変わりません。しかし、6時間睡眠群、4時間睡眠群、いずれも、どんどん、注意力テストの結果が悪くなっていくではありませんか。

最終的には、実験終了の14日目の時点では、一晩4時間の睡眠を14日間続けた群では、3日間徹夜した群並みに、注意力テストの成績が下がっていました。
一晩6時間の睡眠を続けた群では、1日徹夜した人並みに、注意力テストの成績が下がっていました。

一晩4時間はともかく、一晩6時間の睡眠を2週間続けるくらいなら、割とよくありそうなことだと思いませんか? このような、一見さほど睡眠を削っていないように見える程度の睡眠不足でさえも、続けることで、だんだんと寝不足ダメージが脳に蓄積されてくるわけですね……!

この実験の場合、たまたま4時間、6時間、8時間、というくくりになっていますが、要は、あなたにとっての理想的な睡眠時間より短い睡眠をずっと続けていると、そのうち、徹夜明け並みに作業効率が落ちてしまうかもしれませんね、という話です。

自分のことに話を戻すと、わたしは、一晩で、合計7時間くらい寝られています。でも、もともと長めに眠らないともたないタイプであるため、睡眠不足か積み重なってきて、最初に書いたようなぼんやり状態になってしまっているようです。

あと数週間したら、高速道路に乗らなきゃいけない用事があるんだけど……それまでに寝不足を解消できる見込みもあまりないので、2倍の時間をかけてでも、公共交通機関を使っていった方が良さそうですね!

ひとまず、今週のぼんやりは危機的なので、あまり無理せず、頑張り過ぎず、のんびり過ごすことにします。


参考文献:
Van Dongen HPA, Maislin G, Mullington JM, Dinges DF. The cumulative cost of additional wakefulness: dose-response effects on neurobehavioral functions and sleep physiology from chronic sleep restriction and total sleep deprivation. SLEEP 2003;2:117-126.