眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

夜に光を浴びると、乳がんの危険が増える可能性があるという話

おはようございます。このごろは授乳間隔が開いてきて、昨夜の最初は、3時間半連続といつもより長めに寝られました。でも今朝は、食洗機に洗剤を入れずにスタートスイッチを押してしまいました。早めに気がついたから良かったですけど。寝不足ぼんやりが解消されるには、まだまだかかりそうです……。

 

最近、タレントの北斗晶さんが乳がん闘病を公表したことが話題になりましたね。「話題になってるから」くらいのノリで北斗さんのブログの記事を読んだら、思いがけず涙を誘われました。手術の成功と順調な回復を祈るばかりです。

さて、そんな乳がんが、睡眠と関係があるのかもしれない、という豆知識を今日は書いておきます。
睡眠を知る上で避けて通ることはできない体内時計、これが、乳がんの発症にも何かしらの影響を与えているのかもしれないという話です。

乳がんが発症する危険を高める要因というのは、いろいろあります。
● 出産や授乳は、乳がんのリスクを低下させます。
● 初潮が早かったり閉経が遅かったりすることは、乳癌のリスクを増加させます。
● 一部の乳がんは遺伝性なので、家族で乳がんに罹った人がいれば、自分自身の乳がん発症の可能性も高くなります。
● 食べものでは、アルコール摂取が乳癌のリスクを高めることが、確実視されています。

参考:
日本乳癌学会の、乳癌診療ガイドライン
http://www.jbcsftguideline.jp/index/index/t/4/p/1#cq

で、この診療ガイドラインにも取り上げられていることなのですが、
「夜間勤務は乳癌発症を増加させる可能性がある」んですよね。

夜間勤務などで夜に人工の光を浴びることが、体内時計をつかさどるホルモン・メラトニンの分泌のリズムを乱し、その結果女性ホルモンの分泌が増えることで乳がん発症が増えるんでは? という仮説があるのです。

もうちょっと詳しい説明を読みたい方は、乳癌診療ガイドライン中の記載をどうぞ。
http://www.jbcsftguideline.jp/category/cq/index/cqid/401501

上に紹介した、確実なリスク要因に比べれば、科学的証拠としては低いレベルで、まだまだ今後の検証が必要な話なんですが。
(なので、乳がんに罹った方が、夜に光を浴びたのが良くなかったのかもしれないとか言いたいわけではないことは、念のため申し添えておきます)
睡眠の研究者の間では割と知られている話なので、豆知識としてご紹介してみました。

朝のうちに強い光を浴び、夜は光を避けて体内時計のリズムを整える、そのことが、病気の発症を抑える上でも役に立つのかもしれませんね。