眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

母乳育児の方が、ミルクよりも、母親の睡眠のためにはいいらしい

昨日の日中は、いつになく次男の授乳間隔が開いて、よしこの調子で夜も…! と期待していたら、夜はむしろいつも以上に頻繁に起こされました。がっくり。
まあ、赤ちゃんにしてみれば、昼間にあまりおっぱいを飲まないでよく寝た分、夜はもっとがっつきたくなったのかもしれませんね。その日の気分というものもあるでしょうし、やはり子育てとは思い通りにいかないものです。

そんな風に、夜間も腹を空かす赤ん坊の相手は苦労が多いものです。
母乳よりミルクの方が腹持ちが良い、長く寝てくれる、という期待から、日中は母乳でも寝る前はミルクにする、という人もいう話も目にします。

ところが、以前にも紹介した睡眠の専門書(Principles and Practices of Sleep Medicine ,5th ed)によると、夜間に母乳を与える親の方が、ミルクを与える親よりもよく寝られる傾向があるということなんですね。
生後3か月の子の親を対象とした研究では、夜間に赤ちゃんに母乳をあげた親は、ミルクをあげた親よりも、平均で37分から48分長く寝られていたとか(参考文献1 。この元の論文は、あいにく無料では読めないので見れていませんが…)。

さらに、別の研究からは、母乳育児をしている母親の方が、浅い眠りが少なく、深い眠りが多いという報告もあるそうです。これは、母乳を出すときに分泌されているプロラクチンというホルモンの影響と考えられています(参考文献2。こっちは無料でオンラインで読めます)。

しょっちゅう起こされる代償として、合間の眠りは、ふだんより深くなるようになっているのですね。

もちろん、母乳の出が少ないときに赤ちゃんのためにミルクを足すのは良いことですし、ミルクには、お母さん以外の人でも与えられるなどの利点もあります。赤ちゃんによっては、ミルクの方が正解、という場合も少なくないことでしょう。
でも、お母さんがよく眠りたい、という理由ならば、母乳のかわりにミルクに切り替えることが必ずしもトクとは限らないようです。

参考文献:

(1) J Perinat Neonatal Nurs. 2007 Jul-Sep;21(3):200-6.Breast-feeding increases sleep duration of new parents. Doan T, Gardiner A, Gay CL, Lee KA.

(2) J Sleep Res. 2002 Dec;11(4):297-303. Lactation is associated with an increase in slow-wave sleep in women. Blyton DM, Sullivan CE, Edwards N.