眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

ちょっとうるさい! 夫のイビキに対する応急処置

うちのような、3-40代の夫婦による家庭で、夫のイビキが気になることがある…という妻は、けっこう多いのではないでしょうか?

この年頃だと男性の方が女性よりイビキをかきやすいことと、女性の方が育児のためなどの理由で、夜中に目を覚ますことが多いことから、どちらかというと女性の方がパートナーのイビキに悩みやすいようです。

(しかしながら女性がイビキをかかないわけではありません。特に、閉経後の年代では、イビキ の男女差はなくなると言われます。なので、いびきについてこれから書くことは、女性にもあてはめられるものです)

イビキの中には、病院で検査した方が良いイビキもあります。睡眠時無呼吸症候群という、睡眠中に繰り返し呼吸が止まる病気が疑われる場合です。睡眠時無呼吸症候群を治療せずにいると、将来の心臓病や脳卒中の危険が増えるという研究報告が多数あります。
睡眠時無呼吸症候群をきちんと治療すれば、そういう大病の危険が減るという報告もあります。なので、睡眠時無呼吸症候群があるかもしれない場合は、きちんと検査して、病気が見つかったらきちんと治療することがおすすめです。

どんなイビキのときに、病院に行くのがよいのでしょうか?
「外から見て睡眠中に繰り返し呼吸が止まっていたり、本人に息が詰まっている自覚があったりするとき」
です。これは、特に他に症状がなくても検査した方がいいです。

呼吸がはっきりとは止まっていなくて、イビキがうるさくて困るな、という程度でも、日中の眠気があったり、血圧が高かったりする場合は、検査をおすすめします。

上に書いたことにあてはまらなくても、心配な場合は、検査したいと医師に伝えてみましょう。結局、何かしら検査をしてみないと白黒はつけられないので。

じゃあどんな病院を受診するか? 関しては、最近は、睡眠時無呼吸の診療を行っている医療機関はけっこう多いです。
Googleなどで、「睡眠時無呼吸症候群」と言うキーワードを、住んでいる地域の名前と組み合わせて検索すれば、診療している病院やクリニックがいろいろ見つかるのではないかと思います。

で、記事タイトルに書いた「応急処置」の件です。
夜中に、ぐーすか寝ている夫のイビキが耳障りだ、という場合にどうするか?

夫を横向けにしましょう!

体ごと横向けでも構いませんし、体を全部横向けにするのが難しいなら、顔だけ横向けにするのでも良いです。
顔だけ曲げる場合は、夫の首に負担がかからないように、両手で夫の顔を挟みこんで、優しくゆっくり横向けにしてあげてくださいね。
(注意:夫が、首の骨に怪我や病気があるような場合は、顔だけ曲げようとはしないでください。大丈夫なはずである場合も、抵抗が強くてすんなり首を回転させられなかったり、相手が苦しがったりする場合は、中止してください)。

イビキの原因の一つとして、寝ているときにノドの力がゆるんで、舌がノドに落ち込むことで起きることがけっこう多いのです。横向きやうつ伏せだと、重力で舌がノドに落ち込むことが減るので、ノドが開きやすくなるんですね。

イビキのタイプによっては横向きにしてもあまりよくならない場合もありますが、横向きにすると劇的にイビキが改善する人もけっこう多いので、気になったときにやってみませんか。

わたしは、月2、3回くらい、寝ている夫の顔を横向きにしています(笑)