眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

睡眠の医者であるわたしとカフェインの付き合い方

カフェインは、健康にいいという話もいろいろありますが、わたし自身は、ふだんは、なるべくカフェインを控えるようにしています。
 
その理由は大きくわけて3つあります:
  1. カフェインを連日つかうと、耐性ができて目覚め効果がにぶくなる
  2. とる時間帯によっては、夜の睡眠に悪影響をおよぼすおそれがある
  3. 妊娠中だった/現在も授乳中
 
順番に説明しますね。
 
  1. カフェインを連日つかうと、耐性ができて目覚め効果がにぶくなる

薬によっては、くりかえし使っているうちに体が慣れて効き目がにぶってくる「耐性」が生じることがあります。
 
カフェインも、耐性がつきます。わたしは、居眠り常習犯の学生の頃は、実習のときの眠気覚ましのためにカフェイン錠剤を常用していました(いま思うと、なんでそこで睡眠時間を伸ばさなかったんだというところなんですが)。これ、つかい始めた当初はけっこう効果があったんですが、一年ほど続けてつかっていると次第に効かなくなってきて、最後にはカフェイン錠剤を飲んでも居眠りをふせげなくなりました。
 
1回ごとに規定量の半分しか内服していなかったので、そこでさらにつかう量を増やすという選択肢はあったんですが、薬に対して耐性ができているということをまざまざと実感し、なんとなくこわくなって、それを機にカフェイン錠剤はやめました。
 
それでもその後も、コーヒーを毎日飲んでいた時期もありましたが…。十分な睡眠時間をとれるようになってからは、意識して、あまりカフェインをとらないようにしています。朝から疲れや眠気を感じていたりしてシャキッとしたい「ここぞ」というときのために、セーブしているのです。ふだんの飲みものはノンカフェインのお茶。
 
と言いつつ、楽しみのためだけにコーヒーを飲むこともあるんですけどね。
 

2.摂る時間帯によっては、夜の睡眠に悪影響をおよぼすおそれがある

目覚まし効果のあるカフェインは、一方で、夜の寝つきや睡眠の質を悪くする作用があります。
 
厚生労働省による「健康づくりのための睡眠指針2014」では、就寝前3-4時間のカフェイン摂取を控えることをすすめています。
 
参考:「睡眠対策 | 厚生労働省
 
わたしの場合は、ふだんカフェイン断ちしているせいか、はたまたそういう体質なのか、昼を過ぎてコーヒーを飲むと夜の寝つきが悪くなることがあるので、カフェインをとるのは昼食のときまでと決めています。
 

3.妊娠中だった/現在も授乳中

妊娠中はカフェインが胎児に移行するし、授乳中もカフェインが母乳に移行します。大量のカフェイン摂取をしていた妊婦の流産率が上がったという報告があり、また、母乳からカフェインを摂った赤ちゃんが興奮して寝つきにくくなったりするおそれもあり、妊娠中や授乳中の母親のカフェイン摂取は控えた方が良いと言われます。
 
まあ、どちらの場合も、コーヒー1日2-3杯までくらいのカフェインなら、気にするほどの害はないんじゃない? という話もありますが、わたしは、いちおう気をつけて、いつも以上にカフェインを少なくとっています。
いまも、特にしんどいときに、カップ半杯くらいのコーヒーを飲む程度です。
 
以上のような感じでカフェインと付き合っています。
 

久しぶりに缶コーヒーを飲んだら…

あとは雑文。
 
このあいだ、久しぶりに缶コーヒーを飲んだら、ものの20分くらいで、体の内側からカーンと響くようにカフェインが効いてきたので、びっくり。
 
調べてみると、缶コーヒー1缶あたりのカフェイン含有量は90mg~150mgということです。
参考:「カフェイン含有量まとめ」
 
100mlあたりでなら50mg~80mgですから、 普通にいれるコーヒーと比べてすごくカフェインが濃いというほどではありません。
ただ、最近は一度に100mlくらいのコーヒーしかとらないわたしが1缶全部飲んだので、一気にふだんの2倍ほどのカフェインが体に入り、効果が増したようですね。
 
研修医の頃は、毎日のように缶コーヒーを飲んでいましたが、そのころは、それほど強い効き目は感じませんでした。今より体がカフェイン慣れしていたのと、毎日睡眠不足で、眠気が強かったからなのでしょう。
 
同じ量のカフェインでも、慣れ具合や体調によって効果が違ってくることを実感し、おもしろく思いました。