眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

睡眠障害で病院にかかりたいときの、病院の探し方・選び方

睡眠時無呼吸症候群疑いの人が、どうやって受診する病院を見つければ良いか、という内容のエントリを以前に書きました。
 
今回は、睡眠時無呼吸症候群以外の睡眠障害が疑われる人が、どうやって受診する病院を見つけるのか、ということについて書きます。
 

学会が提供する医療機関リストの読み方

日本睡眠学会が認定する認定医療機関は、2016年9月の時点で、全国で96機関あります。
リンク先のページが、日本睡眠学会のが提供する認定医療機関や認定医などの情報です。「認定機関」をクリックして、リストに飛べます。
 
認定医療機関のリストをよく見ると、それぞれの医療機関が、「機関A」と「機関B」のいずれかに分けられていることがわかります。
AとB、いったい何が違うのでしょうか?
 
答えは、同じWebページ上にある、学会認定のための規約
に書いてあります。
 
(以下引用)
睡眠障害の医療を行なう学会認定医療機関(A型)は、睡眠障害の全般 (睡眠障害の国際的診断分類第2版 ICSD-2 の診断カテゴリーによる)を診療の 対象とし、睡眠ポリグラフ検査(MSLT を含む)を年間(1/1~12/30)50 症例以上 および MSLT 検査を年間(1/1~12/30)5症例以上行えることを条件とする。睡眠呼吸障害の医療を行う学会認定医療機関(B型)は、睡眠時無呼吸症候群、およ び、その関連疾患を診療の対象とし、睡眠ポリグラフ検査を年間 50 症例以上行え ることを条件とする。
(引用おわり)
 
カンタンにまとめると、「機関A」では、睡眠障害全般を診ます、「機関B」は、睡眠時無呼吸症候群専門です、ということですね。
 

機関A、機関B、どちらを受診するか?

ですから、睡眠時無呼吸症候群疑いの人は、どちらを受診してもいいです。
(もっとも、典型的な睡眠時無呼吸症候群の人なら、認定医療機関以外のところで診てもらうのでも問題がない場合も多いと,個人的には思っています。詳しくは、冒頭で紹介したエントリをご覧ください。)
 
一方、「睡眠時無呼吸症候群ではなさそう、でも睡眠障害かもしれない…!」という人は、機関Aの医療機関を受診しましょう。予約制をとっている病院が多いので、事前に必ず問い合わせるようにしましょう。また、混んでいるところが多いので、初診までけっこう待つことになるかもしれません。
 

「地方に住んでいて、認定医療機関が遠すぎる!」という場合は?

ただ、住んでいる地方によっては、近くに機関Aの医療機関がないという場合もあるかと思います。
そのようなときはどうすれはいいか、という案も書いておきます。
ただしいずれの場合も、認定医療機関を受診した場合と比べて、最善の検査や治療が受けられないかもしれないというデメリットがあることはお断りしておきます。
 
1 認定医療機関でなくても、睡眠医療認定医が行っている外来を受診する。
睡眠学会認定機関のリストが載っているのと同じページから、睡眠医療認定医のリストへも飛べます。
認定がいる病院の数は、認定医療機関よりもたくさんあります。医師によっては、主に所属している病院以外で診療を行っている場合もあるので、近くにいそうな医師の名前で検索して、通いやすい病院で外来を行っていないか、調べてみてもいいかもしれません。
 
そして、上記のような医療機関すら近くにない場合は、
2 疑わしそうな病気に応じて、専門科を受診する
のが、次善の策でしょうか。
うまく読みがあたって、見識のある医師に当たれば、問題ない治療か受けられるかもしれません。
レストレスレッグス症候群疑いなら神経内科とか。
睡眠時無呼吸症候群疑いなら、耳鼻科や神経内科とか。
それ以外なら、だいたい精神科・心療内科かな。睡眠の領域の病気の多くは、精神科の領域でもあります。ただし、睡眠の分野で一番多い病気である睡眠時無呼吸症候群を、精神科では基本的に扱わないことと、睡眠障害の診療に重要な検査である終夜睡眠ポリグラフィを、ほとんどの精神科では行っていないことが問題です。
 
睡眠障害のある人はみんな睡眠の専門医が診るのが理想的だと、個人的には思いますが、なにしろ専門医の数が少ないので、なかなかそうも行きませんね…。