眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

なぜ子どもに夜更かしさせてはいけないの? その理由を解説してみる

子どもを早寝させましょう、とはよく聞くところですよね
では、なぜ、夜更かしさせることがいけないのでしょうか?
今回は、その理由を簡単に解説します。
 

睡眠不足になるから

これが一番の理由です。
遅く寝る子ほど、1日の合計睡眠時間が少なくなる傾向があります。
遅く寝る子の方が、遅く起きたり昼寝を多めにとったりする傾向はあるんですが、それでも、遅く寝ることによって失った睡眠を、補いきれないんですね。
 
睡眠不足になると、考える力や集中力が低下して、勉強がはかどりにくくなります。
風邪もひきやすくなります。運動でも能力を最大限発揮することができません。
その上、やる気が出ない、イライラする、そういう不幸せな状態に陥りやすくなります。
 
要するに、子どもが持つ力を存分に発揮してもらうためには、しっかり睡眠をとらせることが大事なのです。
 

夜に光を浴びること自体が良くない

夜に光を浴びると、体内時計が夜型になりやすくなります。体内時計の夜型化が進行すると、寝つきが悪くなり、朝起きにくくなります。
 
そうして夜に光を浴びることが、病気のきっかけとなる場合すらあります。
思春期に発症しやすい、概日リズム睡眠障害(後退型)という病気がありますが、これは、体内時計がうしろにずれ過ぎて、極度の夜型に陥ってしまった状態です。
たとえば、同年代の他の子が23時に寝て7時に起きているようなときに、毎晩3時までどうしても寝られず、朝は11時頃まで布団から出られないなんていう状態になってしまうのです(この場合、世間並から体内時計が4時間ほど後ろにずれています)。
そうなると、いつもの寝られる時間になるまでは、睡眠薬を飲もうが何しようが寝られないし、朝はたいてい、家族がどう頑張っても、7時ころになんて起きられやしません。
当然学校に行くこともままならず、社会生活への影響は甚大です。
 
さらに深刻な場合は、どの時間帯に寝てどの時間帯に起きるかということに、まったく一定したパターンが出なくなる場合もあります。体内時計が24時間周期でなくなっている状態です。この状態だと、たとえば2週間後の何時頃に起きていられるかなどの予測がまったく立たないので、学校どころか、遊ぶ予定もバイトの予定も入れられず、日常生活が壊滅的におくりにくくなります。
 
また、夜更かし朝寝坊が常態化すると、慢性の時差ぼけに陥ることがあると言われます。
その慢性の時差ぼけによる症状というのは、旅行で経験するような時差ぼけがずっと続いているというもので、疲れやすく、食欲が落ちて、活動量も落ちるということですね。
本邦での小児睡眠障害の第一人者である神山潤先生の著書に、そのあたりのことが詳しいです。
 
神山先生の本で、今回参考にしたもの:

一般向けだとこちらがおすすめかな。

まとめ

睡眠不足にさせないためにも、病気の予防のためにも、幼いうちから早寝を心がけ、夜更かしをよしとしない習慣をつけることが大切です。