眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

CPAPの加湿器は、春になったらとってもいいの?

自宅の引っ越しで忙しかったり、めっちゃ長い論文を題材にブログ記事を書こうと奮闘したあげく、結局紹介する価値はないと判断したり、気軽に発信できるtwitterにばかりついつい時間を使っていたりで、またしてもブログをすっかりお休みしておりました。気が付いたら2か月も更新していなかった、いやはや。
 
なにかしら更新しないとハードルがどんどん上がるばかりですから、今回は、twitterに連投した内容を、推敲・再構成してお送りいたします。
 

春になったらCPAPの加湿器を外して良いか ~わたしの意見

「そろそろ加湿器を外してもいいですか?」
これは、睡眠時無呼吸症候群の治療として持続陽圧呼吸装置(CPAP)を使っている方から、この時期によく聞かれる質問です。
「試しに加湿器を外してみて、CPAPの使い心地や使用時間に特に変化が出ないようなら、外したままでいいですよ」とわたしの場合は回答しています。
 
CPAP使用時に加湿器を併用する目的って、典型的には以下のどちらかです。
 
1 冬場の結露対策(最近のCPAP機種の加湿器だとたいがいチューブが温まるようになっているので、それによって寝室が寒いことに伴うチューブ内の結露が減る)
2 乾燥対策 (乾燥そのものによる不快や、乾燥に伴う鼻水、鼻づまり)
 
で、1の理由で冬になってから加湿器を使うようになった方が、春になると、上記の質問をしてくるわけですね。
 
結露だけ、もしくは冬場の特にきつい乾燥だけが問題だった人の場合は、春になれば加湿器を外せる可能性が高いです。
しかし、冬になる前からすでに乾燥に伴う苦痛が強かった人や、鼻炎もちの方だと、一年中加湿器が必要な場合も少なくありません。
 
CPAPオプションの加湿器が必要な場合は、しっかり使った方が、確実にCPAP使用が楽になります。
とはいえ、加湿器を使うことそれ自体がやや面倒なもので、CPAPアドヒアランスの低下につながりかねない要素ですから、試しに加湿器を外して、そのまま行けるようならそれでもいいんじゃない、というのがわたしの考えです。
 
ただし、これはあくまで私見で、エビデンスに基づいたものではありません。
CPAP使用中の方が使用中の加湿器を外すに当たっては、まず主治医の先生にご相談くださいね。
 

この悩みは、日本ならでは?

ちなみに米国では、CPAPの加湿器を年中つけっぱなしでいる方が当たり前らしいです。
あの国の家庭は、家のエアコンを1年中着けていることが多いし、日本のように湿気が多い地域は少ないので、寝室が乾燥しがちとなって、加湿器が標準装備となってくるのでしょうね。