眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

日本の若手医師が睡眠専門医となるには

 
2017年現在、睡眠専門医になるための統一された研修プログラムというものが日本では整備されていません。
 
ちなみに、いま第一線で活躍中の先生方の場合、最初は睡眠とは違う科(精神科、神経内科、呼吸器内科、耳鼻科、小児科など)を専門的に学んでいたが、何かのきっかけで睡眠医学の世界に足を踏み入れ、その面白さに魅せられたというパターンが多いようです。
 
では、医学生や研修医の時期から睡眠専門医になろうと志した場合は、どうすればいいでしょう?
 

現状で考えられる方法

いちばんオーソドックスなのは、上に挙げたような科のどれかでまず専門医となって土台を固めた上で、その専門科でかつ睡眠医学の診療がさかんな病院に入り込むことなのかと思います。
 
あるいは、学会や著作など気になった専門家がいた場合、そこへ押しかけ弟子になるのはありですね。もちろん、先方が同意することが必須条件ですが、冒頭で書いたように、だいたいどこも人手不足ですから、そう嫌がられることもあるまいと思います。
 
日本よりも睡眠医学の教育プログラムが整っている国、たとえば米国などに留学して学ぶというのも、あ良いのではないでしょうか。米国の方が日本より、睡眠医療の面では先進国です。語学、費用、とクリアすべきハードルは多いですが、ハイリスクに見合ったハイリターンはあるのではないかと思われます。
 
あとは、日本にも、少数ながら、若手の医師を対象として睡眠医学の研修プログラムを用意している施設があります。たとえば、滋賀医科大学や国立精神・神経医療研究センターです。
実際どのようなプログラムがあるか、そこを卒業した医師がどのような活躍をしているのか、そこまでよくわかりませんが、いずれも、睡眠医学の世界では有名な先生がいて研究実績がある施設なので、研修先として大外れということはないんではないでしょうか。
とくに師事する相手の心当たりがないような場合は、選択肢として検討されて良いかもしれません。
 
…と、このあたりが、現在の日本で新たに睡眠専門医になろうとする場合に使える道であろうと思われます。
 

今後は、睡眠専門医を養成する仕組みの整備が必要

問題は、どれも、「睡眠を専門に学ぼう!」という相応の覚悟が必要とされ、なんというかハードルが高い。いまの構造だと、どうしても、睡眠の専門とする医師が増えにくいのは否めません。
 
睡眠の専門家の集まりに行って、よその施設のスタッフと話すと感じるのは、だいたいどこも医師が足りていないということです。日本睡眠学会が認定する認定医の数は、2017年1月現在で、523人。大人の2割が、なんらかの睡眠の問題を自覚すると言われるわけですが、その全員に行きわたるには、到底足りない数です。
 
睡眠専門医を増やすための、根本的な解決策としては、やはり、睡眠専門医になるための統一されたプログラムが日本でも整備されることでしょう。
 
米国では、睡眠医学の研修プログラムおよび認定試験が公的に整備されるようになった1990~2000年代に、睡眠医学に携わる人数が爆発的に増えたようです。次世代を担える日本の睡眠専門医をたくさん育成していくためには、今後日本でも、統一された研修プログラムを作っていくことが望ましいですね。