眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

風邪薬や痛み止めに入っているカフェインの話

こんにちは。そしてまたお久しぶりです。
最近、だいぶ寒くなってきて、風邪を引く人が増えてきたような気がしますね。
今回は、風邪薬や鎮痛薬に含まれているカフェインについて書きます。

どんな薬にどの程度のカフェインが含まれているか

カフェインとは、すでにご存じの方も多いでしょうが、お茶やコーヒーに多く含まれる物質です。カフェインには眠気を減らす効果があり、そこが睡眠医学的に重要です。
 
このカフェイン、実は、薬局で売っている風邪薬や痛み止めに配合されていることが、非常に多いです。
 
たとえば、価格コムの「風邪薬人気売れ筋ランキング」20位
に10月19日時点でランキング入りしていた風邪薬の成分を調べてみたところ、漢方薬以外の総合漢方薬12種類のうち、カフェインが入っていなかったものはわずかに1種類でした。
 
処方される風邪薬でも、PL配合顆粒という、けっこうよく処方される薬は、やはりカフェインを成分に含んでいます。
 
解熱鎮痛剤でも、イブAなど、多くの薬にカフェインが含まれています。
 
これらの風邪薬や鎮痛薬に含まれているカフェインは、だいたいのところ、1日量50mg~90mgくらいです。缶コーヒー0.5本分くらいですね。
 

カフェインを薬から摂るメリット

風邪薬や鎮痛剤に、当たり前のようにカフェインが入れられている理由、それはもちろん、カフェインを摂ることによるメリットがあるからです。
 
メーカーによる薬の説明によく書かれているカフェインの効果は、「頭痛を改善させる」「頭の重さをやわらげる」です。
 
わたしとしては、それだけでなく、「風邪薬の他の成分から来る眠気をカフェインの覚醒効果で相殺する」「頭がシャキっとする分、元気になった感じを得られる」という効果をも、製造側が期待しているのではないかと思ってます。
 
市販の風邪薬に頼るときのよくある目的って、「風邪をひいてしまったけれど、なるべくいつも通りに仕事や勉強をしたい」ではないでしょうか。その目的のためなら、カフェインを使うのは、理にかなったことです。
 
ふだんからコーヒーやお茶をよく飲む大人なら、風邪薬に入っている程度の少量のカフェインは、昼間の活動時に飲むなら気にしなくて良いレベルですしね。
 

カフェインを薬から摂るデメリット

ただし、いくら少量と言っても、カフェインを摂ることによって、寝つきや睡眠の質が悪くなる可能性はゼロではありません。
 
風邪薬を飲むときの、もう一つのよくある目的って、「風邪をひいてしまったけれど、休める状況なのでゆっくり休みたい、ゆっくり眠るために、少しでも症状を薬で和らげたい」ではないでしょうか。
その場合は、眠る直前に、カフェインの入った薬を服用するのはNGです。
 
せっかく飲んだ風邪薬のせいで、必要以上に寝つきに時間がかかったり、せっかく寝ても目が覚めたりしやすくなったりということにつながりかねません。
 

個人的な考え

カフェインは、うまく使うととても便利な物質です。だからこそ、あまり考えずに摂りまくるのはもったいないと、わたしは日頃から考えています。
 
体に入れるカフェインを意識していないと、何が起こるか。うっかり夜にカフェインを摂って眠れなくなったり、あるいはカフェインを摂りすぎて効きが悪くなり、本当に目を覚ましたいときにカフェインが効かなくなったりします。これが、もったいないカフェインの使い方です。
 
風邪薬や鎮痛薬にカフェインが入っていると、カフェイン摂取について特に意識していない人に不必要にカフェインを摂らせて、もったいない使い方をさせることにつながりやすくなるので、そこがよろしくないなー、と思います。
 
ちなみち、わたしが自宅に置く薬は、カフェインの入っていないものを選んでいます。
もしカフェインに頼りたくなったら、コーヒーやお茶を飲めばいいだけの話ですからね。薬から摂るよりも、その方が美味しくて楽しいですし。