眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

実はこんなに違いがある、「昼間の眠気」の感じ方

ひと口に「昼間に眠い」と言っても、その中身はさまざまです。
それゆえに、もともと眠気が強い人の言う「眠い」と、ふだん眠気に困っていない人の思い浮かべる「眠い」は一致していないんじゃないかと思うことがあります。眠気の強い人が誤解されやすいのは、その不一致にも原因があるんじゃないかと。
 
なので、「昼間に眠い」にもこれだけ幅があるんだよという段階分けを、わたしの独断でつくってみました。
 
こんな感じで。下に行くほど眠気は強くなります。
  1. 午後2時頃に眠気を感じるが、仕事や家事はふつうにこなせる。
  2. 昼間に眠気を感じることはあるが、動いていたり、緊張していたりしたら気にならない程度。自宅でリラックスしてテレビを見たり読書したりしているときにウトウトしていることはある。
  3. 退屈な講演や会議に受け身で座っているときに居眠りする。
  4. 興味を持っている講演や、発言しなければいけない会議など、眠りたくないと思っている場面で眠る。
  5. 重要な会議や、お客さんとの話し中など、眠ったら明らかに社会的にまずい場面で眠る。
  6. 自動車運転中や、危険な機械を動かしている最中など、眠ったら明らかに危ないはずの状況で眠る。
  7. 自転車運転中や、叱られている最中など、通常なら眠るはずのない状況で眠る。
 
個人的には、1と2は放っておいてなんら問題ない眠気、5~7は、何か手を打たないとまずい眠気と判断します。3、4あたりの眠気をどう考えるかは、ケースバイケースですね。
 
眠気が強い場合、もはや気合いだけで起きておくことはできません。
暴力的にのしかかってくる眠気に無理やり頭を抑えられて、眠りに押し込まれるような感覚です。
 
よく、昼間の居眠りが多い人を、周囲の人(親、先生、同僚、上司など)が、「やる気がない」「だらしない」「なまけている」と、あたかも本人の人格に問題があるかのように評価することがあります。
でも、「どう考えてもこの状況で眠ったらまずい」と本人もしっかり理解しているのにそれでも眠ってしまうという場合、やる気や気合いなどの精神面の問題ではありません。
気合いでどうにかなるものなら、「どう考えても眠ったらまずい」とわかっていて居眠りをするはずがないからです。好き好んでトラブルに巻き込まれる人はいません。
 
 
なお、今回は、話をわかりやすくするために、眠気の強さを具体例を挙げながら説明しましたが、睡眠診療の現場では、エプワース眠気尺度という質問票を使って、眠気の強さを申告してもらうことが一般的です。
客観的に眠気を測るためには、反復睡眠潜時検査という検査がよくおこなわれます。
いずれ、機会があれば説明しますね。