眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

睡眠不足のアナタに、年末年始の「寝だめ」のすすめ

年末になりました。
 
日頃、眠気や疲れやすさなど、睡眠不足が疑われる症状に悩んでいる方、正月休みこそは、ゆっくりと寝るチャンスですよ!
 
除夜の鐘を突きに行ったり、ご来光を見に行ったりするのは、心身が回復したあとの楽しみにとっておきましょう。実家や親戚の家などで、夜遅くまで酒盛りをするのもやめておきましょう。できることならずっと家にいて、いつも以上に早寝をして、目覚ましをつけずに好きなだけ寝ましょう。
 
日中の眠気で困っている患者さんの中には、睡眠不足の自覚はあるけれど、ふだんの生活が忙しすぎて、たっぷり眠ることがとても難しい…という方が少なくありません。
そういう方々には、年末が近づいてくると、「正月休みには好きなだけ寝ましょう!」とおすすめしています。正月こそが忙しいという業種でない限り、たいていの仕事で、正月になら少しは休みがとれますから。
 
睡眠不足って、たっぷり寝て不足分を解消しない限りは、返済していない借金のように体に蓄積します。この考えかたを睡眠負債といいます。
 
参考:
 
特に睡眠不足の自覚がない人ですら、少しは睡眠負債を持っていることがふつうです。いわんや睡眠不足による眠気に悩んでいる人の場合、すでに相当量の睡眠負債が蓄積しているはずです。
 
正月など、まとめて休みがとれる時期にたっぷり寝れば、溜まりに溜まった睡眠負債を少しは返済できるはずです。その分、正月明けからしばらくは、少しは日中の眠気が減ったりして、楽に過ごせるようになるかもしれませんよ。
 
ちなみに、こういう行動を一般的には「寝だめ」と言いますが、睡眠負債がまったくない状態で睡眠時間の前借りはできません。「寝だめ」で行われているのは、正しくは睡眠負債の返済です。
 
そりゃあ、ふだんの生活での睡眠が足りないのであれば、遅かれ早かれ、また睡眠負債が蓄積してしまうわけですけれどね。でも、一時的にであれ、睡眠不足による心身への負担を軽くさせられるのなら、やって損はないとわたしは思います。
 
もちろん、理想的なのは、ふだんから睡眠不足に陥らないような生活を送ることです。
正直、今回紹介したやり方だと、休暇中遅起きすることによって、体内時計の時間帯が遅起きに慣れ、休み明けの数日間、時差ぼけのような状態になってしまうリスクが懸念されます。そのリスクを最低限にするためには、睡眠時間を増やすときでも、なるべく起床時間はふだんとずらさず、早寝の方を心掛けるのが最善です。