眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

インフルエンザにかかるとなぜ眠い?

6か月の次男がインフルエンザにかかり、続いてわたし自身も高熱を出し、と余裕のない状況で、ブログ更新が滞ってしまっていました。さいわい、次男もわたしも、もう元気になりました。

ところで、インフルエンザなどの感染症にかかったときって、いつもより眠くなりますよね。
その辺は、実験でも実証されていて、人為的にインフルエンザウイルスに感染させた人や動物では、睡眠、とくにノンレム睡眠の量が増えことが確認されているそうです。

なぜそうなるのか、ハッキリとした理由はいまだわかっていないようですが、ウイルス感染の際に免疫細胞から分泌されるサイトカインという物質による変化ではないかと言われています。体を防御するための反応として、睡眠を増やしているということですね。

一方、睡眠不足で免疫の働きが悪くなるということも、多くの研究で報告されています。慢性的に睡眠不足にしたラットは全身に菌がまわって死ぬそうですし、予防接種をする人たちを睡眠不足にさせる群と睡眠を十分に取る群に分けると、睡眠不足にさせた群の方が、摂取直後の免疫の付き方が弱いという研究もあります。

寝不足だと風邪を引きやすいし、風邪を引いたらたっぷり寝て休むのが良い、とは、おそらくだれもがすでに経験から知っているところではあるかと思いますが、それは科学的な裏付のあることなのですね。

ほかにも炎症と日中の眠気にはけっこう深い関連があるようで、炎症をおさえるクスリを投与することで日中の眠気まで減ったという研究もあり、なかなか興味深いところです。

 

参考文献:
Principles and Practices of Sleep Medicine 5th ed.
Chapter 25: Sleep and Host Defense