眠りの科学とワタシの生活

睡眠関係のネタを、睡眠の専門医である2児のママが書いてます。

「朝、起きにくい」 代表的な原因 3パターン

前回の記事の続きです。

 
さて、朝の起きにくさの原因は、大きく分けて3パターンあります。
 
1 睡眠不足である
2 夜型なのに早起きしようとしている
3 睡眠時無呼吸症候群や、周期性四肢運動症にかかっている。
 
順番に説明します。

1.睡眠不足が原因で起きにくい

たとえばこんな感じです:
23歳の会社員、1時に就寝、6時半に起床。なかなか起きられないので、朝は5時半からアラームを鳴らしている。遅刻するほど寝坊するのは、月2回くらい。日中は、仕事中に居眠りすることが多い。週末は昼頃まで寝ている。
 
解説:
たとえば、本当は8時間くらいの睡眠を体が要求しているのに、6時間くらい寝たらもう起きなければいけない、というような状況です。
起きにくさが深刻ではない、つまり、日常的に寝坊して遅刻してしまうというほどではない、いざとなればおきられるという人には、こちらのケースが多いように感じます。
中学校に上がった、社会人になったなど、人生の節目で睡眠時間や起きる時間の習慣が変わったときに、特に出やすくなります。
 

2.夜型なのに早起きしようとして起きにくい

たとえばこんな感じです:
17歳の高校生、スマホやゲームで夜更かしが多い。12時に寝床に入るときもあるが、2時頃までどうしても眠りに入ることができない。朝は6時半に起きないと学校に間に合わないが、家族総出で起こしても、間に合うように起きられるのは週1回程度。放っておくと、10時頃にやっと起きてくる。
 
解説:
この例の場合、寝る時間帯が2時から10時と、普通の高校生より2,3時間ほど遅くに固定されてしまっています。そうすると、この高校生の6時半に起こすのは、11時に寝る人を3時半に起こそうとするくらい難しい話であるわけです。
上の例くらいひどくて生活に支障が出ている場合は、睡眠相後退症候群、最近は概日リズム睡眠覚醒障害という病名がつくこともあります。
 
体内時計の朝型夜型を決めるのは、遺伝が半分、環境などその他の原因が半分と言われます。また、中高生の年代は、小学生と比較したときはもちろん、大人と比べても、なぜか体内時計が自然に夜型に傾いている傾向があります。それがひどくなると、生活に支障をきたすほど寝られない、起きられない、ということが起きるわけです。
 
大人になれば、たいていの人では十代の頃よりも夜型傾向は緩和されますが、体質的に夜型であれば、どうしても朝が苦手になりやすいです。
 
ちなみに、睡眠不足と夜型の両方が会わさって起きにくくなっている人もいます。
 

3 睡眠時無呼吸症候群や、周期性四肢運動症にかかっている

睡眠時無呼吸症候群で起きにくくなるのは、たとえばこんな感じです:
55歳。いびきがうるさいと家族から言われている。半年前から、朝起きるときに頭痛があり、口もカラカラに乾いている。起き出すときがとてもしんどいが、起きられないほどではない。
 
解説:
睡眠時無呼吸症候群は、夜中に繰り返し呼吸停止する病気、周期性四肢運動症は、夜中に繰り返し脚がぴくつく病気で、いずれも睡眠の質が悪くなります。その結果、眠っても眠っても疲れがとれず、朝も起きにくいということになるわけです。
ただ、これだけが原因だと「起きることができない」レベルの起きにくさには至りにくい印象があります。

 

どれが原因?

睡眠時無呼吸症候群や周期性四肢運動症などの睡眠の病気は、検査をしないと、あるなしに関してはっきりしたことは言えません。
 
 起きにくさの原因が、睡眠不足のせいか、夜型のせいか、見分けるためには、厳密には、睡眠の記録を2週間以上つけることが必要です。
 
一応、ざっくり推測をつける目安としては、
「朝起きられない」と「夜眠れない」がセットだと、夜型。
「朝起きられない」と「昼間に眠い」がセットだと、睡眠不足。
 と、わたしは考えています。
 
睡眠不足で寝つきが悪くなることはまずありませんが、体内時計が夜型にずれている場合は、体内時計にとって自然な時刻まではどうしても寝付けないということか起こるのです。
 
ただし、上にも書いたように、複数の原因が合わさっているケースもあるので、簡単には断定できない場合も少なくありません。